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廃棄野菜を加工食品に。農家の利益に繋げて生産者と料理人とのハブを目指す
築地市場での野菜の流通現場での経験を経て、2015年に兵庫県・丹波篠山にて旬の野菜とジビエ料理を提供する「晩めし屋 よかちょろ」をオープン。2020年のコロナ禍に、行き場を失い廃棄されていく地域の農産物や生産者の力になりたいという想いから拠点を淡路島に移し、加工品製造にシフト。流通業、料理人としての知見を活かしたオリジナルレシピの瓶詰・缶詰を製造。
生産者からの相談に応える形で現在、70種類ほどの商品を製造。グッズを通して販路を全国に広げている。
地域で買い手のない、オーガニックや特殊な品種の規格外の野菜を加工品に
(角田さん)レストランをやっていた際に仕入れていた農家の生産物は、農薬や化学肥料を使わずに育てられた玉ねぎやにんにく、レストラン用に作られるシチリアのトマトなど、地域の農家さんの中でもこだわって作られた野菜でした。そうした野菜は良いものであるがゆえに、地元での買い手がつきにくいため獲れすぎたり規格外の場合は廃棄されていました。以前から、そこにもどかしさを感じていたところにコロナ禍となり、行き場を失った大量の食材を目の当たりにし「やるなら今しかない」と、飲食店を一度休業し、今までにない料理人目線で作られる加工品製造をやっていこうと大きく舵を切りました。
ターニングポイントとしてのグッズの役割は?
(角田さん)グッズに登録したのは、事業を始めてちょうど3年ごろの時です。当時は繋がりのある農家を中心に、直接の卸取引をしていましたが、10件、20件と増えていくうちに受注の管理が段々大変になってきていました。
(なごみさん)発送と事務作業を私がやっていますが、商品の種類や在庫の変動が多いので、取引きごとにリストや請求書の作成、メールや郵送での対応、振り込みの確認などで月末はいっぱいいっぱいになっていましたね。
(角田さん)当初は加工場所を借りてやっていたのですが、自分で新しく加工所を作ったら生産効率が上がり、工期が今までの半分ぐらいになりました。私としては生産や取引きを増やしたい。でも妻は「大変になるからこれ以上は増やさないでほしい」。そのタイミングでグッズから声をかけてもらって、既存の取引先にもグッズに登録してもらい、一気に妻の負担が軽くなりました。
3月に実店舗をオープン
新しい取り組みに向かう気持ちが芽生えた
(なごみさん)一番は気持ちに余裕が持てるようになったことです。特にお金に関する部分は精神的なプレッシャーが常にありましたが、グッズに登録してからは心配する必要がなくなり、体感では丸一日分以上の余裕を感じます。「もっと増やしていいよ」と、言えるようになりました。これから取引きが100件、200件とさらに増えても、事務の負担はほとんど変わらないと思います。
(角田さん)グッズの良いところは全部がまとまっているところ。「請求書を追いかけなくていい」と感じられる点は非常に大きいですよね。余裕ができたおかげで、飲食もできる実店舗「cafe&bar YOKACHORO」や新たに酒屋事業なども展開できるようになりました。
これまで縁がなかった取引先と出会えている
(なごみさん)グッズに登録して「見つけてもらいやすくなった」と感じています。これまでは知り合いの農家やその繋がりで紹介された先に卸しているのが中心でしたが、新しい人が見つけてくれていると感じます。
(角田さん)今までは食に関係する中でしか取引きがなかったので、美容系サロン、アパレルや雑貨店などに繋がったのは嬉しい驚きでした。自分たちで活動していたら出会わなかった層にアプローチできていると感じます。
(なごみさん)海外展開にも興味はありますが、自分たちだけでは難しいと思っているので、海外に販売されているバイヤーさんとの出会いもすごく嬉しいです。
(角田さん)問い合わせやオーダーしてくださる人の情報が分かることもいいですよね。グッズ経由でアクセスしてくれる方は、買う意思を持って問い合わせしてくれるので、取引きに繋がりやすいと感じています。
一年間で受け入れる廃棄野菜は約3トン
それを倍に増やし、農家の収益に繋げたい
(角田さん)丹波は縁あって、最初にレストランで働きながら畑を触ることになった土地です。”有機の里”といわれるほど、有機野菜の生産者が多い。若い生産者も多く色々な繋がりができる中で、野菜なら、作る人、料理する人など役割分担したほうが効率が良いことに気付きました。料理が窓口だとすると、生産現場は遠い。自分はその間を担う流通、ハブのような存在になりたいと思っています。
今後の目標、グッズに望むことは何ですか?
(角田さん)加工品は農家にとっても利益率が良く、野菜が取れない端境期に売れると収益になります。このあたりは、小さな面積でやっている人が多いので、その中で色々なステージ(旬の時期だけでなく、間引きや花が咲いたもの)を収益化していくと、レイヤーで見たら面積が増えることと同じ。そこをもっと理解してもらうためにも、より多くの野菜を受け入れることが重要だと考えていますが、まだそこまでの規模にはなっていないと思っています。
まずは、2倍の受け入れ量にすることを目指しているので、今後も新たな取引先を増やし、海外へも販路を広げていくことをグッズにサポートしてもらいたいと思います。
春夏秋冬、季節の素材を使って作られるYOKACHORO FOOD BASE。新店舗では今月初のイベントが開催されるそうです。角田様、なごみ様ありがとうございました!